菊芋の
菊芋を育てよう
種芋の保管方法
植付まで1週間以上ある場合
底がメッシュ状になった育苗箱、玉ねぎネットなどにゴロゴロと芋を入れ、平らに敷き置き、軽く覆土して植付まで保管します。深植えが過ぎると芋が過湿で痛みます。
氷点下7℃までは屋外地植えで一時保存できますが、それ以上の寒冷地、積雪が深い場合はプランターに市販の培土で埋め、室内管理。表土が乾いたら適度に潅水します。
植付後のお手入れと収穫
植付後の畝の形
植付、覆土、鎮圧、潅水した畝の様子です。
脇芽かき
菊芋は環境適応力が高く、少しくらいの天候不順でも気にせず伸びていくので、ほとんど手がかかりません。目立つ雑草のみ抜き、放任で見守りましょう。
じゃがいものように脇芽をかく必要もありません。2022年に脇芽をかいた場合とそのまま放置した場合とで芋の収穫量を比較してみましたが、脇芽をかかず放任した方が芋の収量は多くなりました。
台風対策
そのまま自然に育てると草丈は3mを超えます。そのままでも良いですが、草丈が高いため、7月頃に170cmくらいの高さ(成人男性の目線くらい)で中央の主幹を切り詰めてしまうのも良いです。台風対策にもなります。
台風で傾いたり倒れたりしても生育上問題ありませんので、畑の他の野菜の世話の邪魔にならない程度におこしてあげましょう。
収穫と保存
基本は、食べる分だけその都度掘り出すと保存の手間が要りませんし、イヌリンなどの養分抜けも防ぐことができます。
水分が多めの芋なので、掘り出してそのまま乾燥させた状態だと1週間程度しか日持ちしません。洗って冷蔵庫の野菜室に入れ2週間を目安に頂きます。
全て掘り出して育苗箱など底がメッシュ状の水気が切れる容器にゴロゴロと入れ、容器ごと軽く土をかけておくことで長期保存もでき、畑の片付けに入ることもできます。
3月に入ると芋は発芽の準備をはじめてしいまいますので、食用にする場合は2月までに頂きましょう。
菊芋 Q&A
生育が悪い場合
- Q:問題
- 葉に元気がない、そもそもの草丈が伸びない
- A:対策
- 上の方の葉がしなる場合は水切れです。真夏に降雨が無い期間は頑張って潅水します。草丈が伸びない場合は土が固く根張りが制限されています。前作の結果をみて植え場所の選定、土づくりを参考に次年に活かします。根張りを良くする土づくりは下段をご参照ください。
はびこり過ぎた菊芋を除く方法
- Q:問題
- 菊芋を育てたは良いが、栽培をやめる時。掘り残した芋から発芽し、畑がいつまでたっても菊芋畑のまま。そんな話をよく聞きます。ザ・健康野菜。生命力の強い菊芋らしいお話です。菊芋を完全に除くにはどうしたら良いのでしょう?
- A:対策
- ひざ~腰くらいまで草丈が伸びるのを待って、真上に抜く。が正解です。時期としては初夏。およそ6~7月くらいでしょうか。そのくらいの草丈になると地中の芋は溶けて真っすぐな根を直下に伸ばしています。抜く時期が早すぎると地中に芋が残ってしまい、再発芽してしまいます。ひとつ残らず芋を掘る、なんて無理ですから…。ぜひお試しください。
根張りを良くする土づくり
ポイント
植物は葉や茎など地上部の大きさとほぼ同じくらい地下に根を張っているものです。
この地下の「根張り」を良くすることではじめて、地上部が元気に茂ることができます。
Q:根張りをよくする土づくりとは?
- 物理的に団粒(土の粒)を整える
- カリウム分の含有量を増やす
基本はこの2つです。
土づくりに役立つ自然素材
草木灰やもみ殻くん炭(籾殻燻炭)を土にすき込むことで、土に有機物とカリウム分の両方をバランス良く与えることができます。
草やもみ殻に燃え残る有機物は地中の微生物を増やし、土の粒「団粒」の状態を良いものへと変えてくれます。いわゆる、ふかふかで肥えた土です。
また、植物の欲する3大栄養素(チッソ、リン酸、カリウム)の3つ目、カリウム分は主に根に効く栄養素で、根張りを助けるとともに、株元のカビなど土壌病害の予防にも役立ってくれます。これは燃えた灰が含んでいるものです。
有機栽培、自然栽培など化学肥料を使用せず植物や野菜を育てる場合には、特に「草木灰」「もみ殻くん炭」の活用が簡単、便利です。
草木灰の作り方
お庭や畑で出る、除草した草。育てた野菜や草花の残渣。これらを活かして簡単に土づくりができます。
ただ、火を使う仕事なので、安全確保はあくまで自己責任でお願い致します。
作成の前に
- 天気予報をよく見て、風のない日を選びます。
- 万一火の付いた草が風で飛んでも延焼しないよう、周囲に可燃物が無いことを確認します。周囲の片付け、事前の散水など万全にご準備ください。
作業手順
- 畑やお庭に深さ30cm程度の穴を掘ります。
- 着火用の紙などを底に。その上に雑草や野菜の残渣をのせ、着火します。
- 草は一度にたくさん載せず、燃え進みをみて上から追加投入します。
- ゆっくりじっくり燃やし、出来た灰が草木灰です。
- 使い方は下段のもみ殻くん炭と同じく、植物を育てる場所の土にすき込みます。
もみ殻くん炭の作り方
もみ殻くん炭は農家自作のものが田舎の道の駅に置いてあったり、少々お値段はしますがホームセンターや通販でも買うことができます。
米農家からもみ殻を入手できる。くん炭を作成する場所(畑、広いお庭)がある。という方はご自身で作成することもできます。
安価に、片手間に、大量に、この素晴らしい素材を使うことができるのは大きな魅力です。
火を使う仕事なので、安全確保はあくまで自己責任でお願い致します。
作成の前に
- くん炭作成はもみ殻2袋投入で12~20時間かかりますので、作成から翌日までの天気予報に注意します。強風、降雨予報があるタイミングは避けます。
- 万一火の付いたもみ殻が飛散した場合でも延焼しないよう、周囲に可燃物が無いことを確認します。周囲の片付け、事前の散水など万全にご準備ください。
作業手順
- ブロックなどで囲いを作り、風でもみ殻が飛散しないようにする。ドラム缶を切って作る方も多いです。
- スムーズに作業が進むよう、全ての素材を近くに準備しておきます。
用意するもの(くん炭器、新聞紙、ダンボール、木の枝)
枝はくん炭器の煙突の穴から投入できるよう、切って大きさを整えておきます。 - 新聞紙を丸め、ダンボールを割いて積んで小さい山を作り、着火。くん炭器を被せる。
- 煙突の穴から素早く木の枝を投入する(やけどに十分注意)
- くん炭器を包むように、上からドサーっともみ殻をかぶせる。正面から見て三角形の山になる感じです。
- 火の具合をみながらそのまま放置。翌日には完成しています。余裕がある方は火が燃えている間、もみ殻を混ぜてあげてください。火の通りが均等な良いくん炭ができます。
- 畑に溝を掘り、出来たくん炭をバケツ等で運び、投入、埋め戻し。後日管理機などで耕耘してあげると、くん炭を広く土に混ぜ込み、なじませることができます。
菊芋で草木染め
はじめに
菊芋は食べて美味しいだけでなく、その葉で草木染めを楽しむことができます。
出る色は「明るい灰緑~茶色」です。ターコイズブルーを出すことに成功した方も居ると聞いたことがあります。※農園主はまだ出せていません。
毎年菊芋を育てている場合、前年の掘り残し芋から伸びた菊芋を除く際に、それを利用してしまうのが一番おトクです。農業廃棄物を楽しく活用してしまいましょう。
染料として使うのに最も適した時期は一番生育の良い盛夏です。
下の写真はそれより前の初夏、草丈1mほどの時に採取した葉を利用したので、色素はやや薄めだったかもしれません。
菊芋染めレシピ
ごく簡単に書いています。詳しくは染色家の方の記事をご検索ください。
- 染める物の3~10倍の重さの菊芋の葉を用意し、大きな鍋に入れ、水をひたひたに満たし火にかけます。
- 沸騰したら弱火にし、ふつふつと20分煮込みます。葉をざる等で濾して染液の完成です。水を替えて再度染料を煮込み2番液をとり、後から混合するとより濃い染液ができます
- 染液だけを鍋に戻し、染める物を入れ、繊維の中に色素がよく入るよう泳がせながらまた20分煮込みます。
- 染める物を鍋から上げて水けを絞り、別の容器に用意した媒染液(みょうばんを溶いたものなど、詳しくはご検索ください)の中で20分ほど泳がせます。
- 色の出具合をみて、より濃く染めたい場合はまた染液で煮込むところから繰り返します。軽く水洗いし、干して完成です。