彼岸花の
彼岸花を育てよう
彼岸花の性質
春なのに芽が出ない?
「花は葉知らず、葉は花知らず」と言い、開花時期には葉がなく、葉があるときは花がない、という珍しい特性を持ちます。
9月の開花時期にニュっと、葉の無い茎だけが地上に突き出し開花。花が終わると株元から葉が突き出て茂り、それも3月には枯れて休眠期に入り、春以降は次の開花まで地上に何も無くなる、という生育サイクルです。
いつでも植付できるの?
この球根の休眠期間(3~6月)が移植(植付)最適期ですが、強健なので開花期以外であれば移植可能です。
厳冬期の植付は刈草やワラを敷くなど、防寒します。
開花率が低い?
彼岸花は他の花球根に比べると開花率は低く、株数の5割程度です。
また大きい球根=開花球とも限らず、毎年同じ球根から開花するとも限りません。開花に養分を回すか、分球に回すか、気分次第といったところがあります。
研究においても開花のメカニズムは未だ詳しく分かっていないのですが、特に分球が進んで球根が混み合ってくると養分が足りず、開花率が落ちるので、2~3年ごとに様子をみて掘り出し、株間を広げ、追肥をします。
地植えの方法
土づくり
野生では落ち葉や枯草の堆積する川の土手などでよく育つもので、日当り・水はけ・保水共に良く、有機質に富む土を好みます。
特に水はけは重要で、植え場所の土に赤玉土と腐葉土を混ぜ込み土づくりをします。さらに、バーミキュライトを混ぜ込むと根腐れなどを予防することができます。または、これらがブレンドされた園芸用の培養土を使用するのも楽です。
ベタっとした土でなく、サラリ、ふわりとした土づくりを目指します。彼岸花は植え場所の土づくりさえしっかり行ってしまえばその後の手がかからないので、ここがポイントです。
さらには草木灰、もみ殻くん炭を継続的にすき込むことで、より元気に、旺盛に育てることができます。これら資材の作成方法は下段に図解しておりますので、ぜひ挑戦してみてください。
植え方
- 株間15cmを確保し、球の直径のおよそ2倍の深さに植え付けします。
- ひょろりと伸びた茶色の茎元が土に隠れるか、少し地上に出るくらいの深さです。茶色の茎元が長い場合には、これが地上に出てしまって大丈夫です。あくまで植付が深すぎないようにします。
植付後のお手入れ
強健なので、ほぼ放任で育ちます。肥料は無くても大丈夫ですが、花後に油粕や野菜用化成肥料を置肥してあげるとより球根が太ります。
- 2~3年に一度、球根が増殖して混み合ってきたら植え替えをします。花や葉の込み具合で窮屈だなと感じたら、で十分です。
- 植え替えのため球根を掘り上げたら、根が乾かないよう水で湿らせるか、すぐに埋め直して潅水します。
- 冬季は翌朝凍結して球根が痛んでしまうので潅水を控えます。
- 植付後、生育が良くない場合、日当たりや水はけを改善するよう、環境を見直してあげてください。大抵は土づくりをやり直して植え替えると元気になります。
鉢、プランター植えの方法
土づくり
鉢底に赤玉土(10%)を敷き、上に{黒ボク土(30%)+赤玉土(30%)+腐葉土(30%)}をよく混ぜた土を入れます。
さらに、バーミキュライトを少量混ぜ込むと根腐れの予防になります。
または、花用にブレンドされた園芸用の培養土をそのまま使用するのも楽です。さらには前述の草木灰のご活用もぜひご挑戦ください。球根がより元気に大きく育ちます。
植え方
60cmプランターなら2条植えで計6~8球、直径15cmの鉢なら中央に1~2球まとめて。球の直径のおよそ2倍の深さに植え付けします。
ひょろりと伸びた茶色の茎元が土に隠れるか、少し地上に出るくらいの深さです。茶色の茎元が長い場合には、これが地上に出てしまって大丈夫です。あくまで植付が深すぎないようにします。地植えの場合の図をご参考ください。
植付後のお手入れ
2年経過で用土を新しいものに交換してあげます。花後に油粕や野菜用化成肥料を置肥してあげるとより球根が太ります。
追肥、植え替え、環境の見直しなど、いずれも地植えの場合と同じです。もし地植えできる環境が整ったら移植したほうがより旺盛に、手間なく生育してくれます。
生育が悪い時の対処法
開花・出葉しない、球根が腐る
- 【原因】
- 乾燥、または長梅雨や潅水のし過ぎによる過湿による根塊痛み
- 【対策】
- 球根を掘り出し、表皮が固くしっかりしていればまだ生きています。前述の植え場所の選定、土づくりを参考に植付し直します。また潅水の頻度を見直します。潅水は表土が乾いたらで十分です。冬季は潅水を控えます。野草ですので、元肥、追肥ともあくまで生育を見ながら。少量づつ与え、やりすぎはよくありません。
培養土を自作してみよう
市販の培養土を使用するのが簡単便利ではありますが、それらはおよそ化学肥料が含まれています。
- 表は素材と配合比率、500mlの手桶20杯で10Lの用土を作成する場合の想定杯数です。
- 最終的に育てる場所(地植え、プランター、鉢)の用土を作る場合、更に完熟堆肥を加えます。
- 短期間のポット育苗の用土を作る場合は堆肥は加えず、ごく少量の石灰、または草木灰を加えます。
- 培養土の配合比率は必ずしも正解は無く、お客様ごとご栽培環境に合わせてアレンジしてみてください。
下記は有機栽培、自然栽培など化学肥料を使用せず植物を育てる場合の培養土の自作レシピです。
素材 | 比率 | 手桶杯数 |
---|---|---|
赤玉土(小粒) | 3 | 7 |
ピートモス | 3 | 7 |
バーミキュライト | 2 | 4 |
パーライト | 0.5 | 0.5 |
黒土 | 1.5 | 1.5 |
計 | 10 | 10 |
根張りを良くする土づくり
ポイント
植物は葉や茎など地上部の大きさとほぼ同じくらい地下に根を張っているものです。
この地下の「根張り」を良くすることではじめて、地上部が元気に茂ることができます。
Q:根張りをよくする土づくりとは?
- 物理的に団粒(土の粒)を整える
- カリウム分の含有量を増やす
基本はこの2つです。
土づくりに役立つ自然素材
草木灰やもみ殻くん炭(籾殻燻炭)を土にすき込むことで、土に有機物とカリウム分の両方をバランス良く与えることができます。
草やもみ殻に燃え残る有機物は地中の微生物を増やし、土の粒「団粒」の状態を良いものへと変えてくれます。いわゆる、ふかふかで肥えた土です。
また、植物の欲する3大栄養素(チッソ、リン酸、カリウム)の3つ目、カリウム分は主に根に効く栄養素で、根張りを助けるとともに、株元のカビなど土壌病害の予防にも役立ってくれます。これは燃えた灰が含んでいるものです。
有機栽培、自然栽培など化学肥料を使用せず植物や野菜を育てる場合には、特に「草木灰」「もみ殻くん炭」の活用が簡単、便利です。
草木灰の作り方
お庭や畑で出る、除草した草。育てた野菜や草花の残渣。これらを活かして簡単に土づくりができます。
ただ、火を使う仕事なので、安全確保はあくまで自己責任でお願い致します。
作成の前に
- 天気予報をよく見て、風のない日を選びます。
- 万一火の付いた草が風で飛んでも延焼しないよう、周囲に可燃物が無いことを確認します。周囲の片付け、事前の散水など万全にご準備ください。
作業手順
- 畑やお庭に深さ30cm程度の穴を掘ります。
- 着火用の紙などを底に。その上に雑草や野菜の残渣をのせ、着火します。
- 草は一度にたくさん載せず、燃え進みをみて上から追加投入します。
- ゆっくりじっくり燃やし、出来た灰が草木灰です。
- 使い方は下段のもみ殻くん炭と同じく、植物を育てる場所の土にすき込みます。
もみ殻くん炭の作り方
もみ殻くん炭は農家自作のものが田舎の道の駅に置いてあったり、少々お値段はしますがホームセンターや通販でも買うことができます。
米農家からもみ殻を入手できる。くん炭を作成する場所(畑、広いお庭)がある。という方はご自身で作成することもできます。
安価に、片手間に、大量に、この素晴らしい素材を使うことができるのは大きな魅力です。
火を使う仕事なので、安全確保はあくまで自己責任でお願い致します。
作成の前に
- くん炭作成はもみ殻2袋投入で12~20時間かかりますので、作成から翌日までの天気予報に注意します。強風、降雨予報があるタイミングは避けます。
- 万一火の付いたもみ殻が飛散した場合でも延焼しないよう、周囲に可燃物が無いことを確認します。周囲の片付け、事前の散水など万全にご準備ください。
作業手順
- ブロックなどで囲いを作り、風でもみ殻が飛散しないようにする。ドラム缶を切って作る方も多いです。
- スムーズに作業が進むよう、全ての素材を近くに準備しておきます。
用意するもの(くん炭器、新聞紙、ダンボール、木の枝)
枝はくん炭器の煙突の穴から投入できるよう、切って大きさを整えておきます。 - 新聞紙を丸め、ダンボールを割いて積んで小さい山を作り、着火。くん炭器を被せる。
- 煙突の穴から素早く木の枝を投入する(やけどに十分注意)
- くん炭器を包むように、上からドサーっともみ殻をかぶせる。正面から見て三角形の山になる感じです。
- 火の具合をみながらそのまま放置。翌日には完成しています。余裕がある方は火が燃えている間、もみ殻を混ぜてあげてください。火の通りが均等な良いくん炭ができます。
- 畑に溝を掘り、出来たくん炭をバケツ等で運び、投入、埋め戻し。後日管理機などで耕耘してあげると、くん炭を広く土に混ぜ込み、なじませることができます。