アピオスの
アピオスを育てよう
種芋の保管方法
植付まで1週間以上ある場合
底がメッシュ状になった育苗箱、玉ねぎネットなどにゴロゴロと芋を入れ、平らに敷き置き、軽く覆土して植付まで保管します。深植えが過ぎると芋が過湿で痛みます。
氷点下7℃までは屋外地植えで一時保存できますが、それ以上の寒冷地、積雪が深い場合はプランターに市販の培土で埋め、室内管理。表土が乾いたら適度に潅水します。
植付の方法
畝の形の事例
マルチあり
マルチなし
ポット育苗の場合
ポット育苗は潅水管理が楽なので、育てる株数が多い方、畑が遠い方に良い方法です。当農園もこの方法です。
- ポット育苗の開始時期は3月下旬~4月。それまでは前述の方法で種芋を保存します。
- 育苗ポットの底に赤玉土を1cm、培養土を2cm、その上に種芋を寝かせ置き、芋の頭が2~3cm隠れる程度に培養土をかけ、手でよく鎮圧、潅水します。培土は市販の種まきの土が簡単便利ですが、自作する場合は下段のレシピをご参考ください。
- その後は表土が乾いたら灌水します。
畝への移植
5~6月になると発芽。つるが15cm程度に伸びたらポットの土ごと畝に移植し、つるをネットによくからませます。
畝への植付は株間30~50cm、覆土2~3cmです。
発芽時期にかなり個体差があり、週1回程度様子をみて、つるが十分に伸びたものから順に移植していきます。
植付後のお手入れと収穫
花摘み
アピオス栽培の楽しみのひとつがこの花摘みです。花茶を楽しみつつ、地下の芋を大きく育てることができます。
- 花摘みの前に軍手をして、葉に居る毛虫に刺されないよう注意します。
- 花は柔らかいのでそっと持ち上げ、付け根にハサミを入れていきます。
花茶のレシピ
- 摘んだ花を1~2日干して乾燥させます。
- 乾燥した花をフライパンでごく軽く煎るとより風味が増します。
- ポットに花20g(30房程度)を入れ、400mlの熱湯を注ぎ、3分待ちます。
- レモン汁を垂らすと鮮やかな赤みが出るので、ガラスポットはより見栄えを楽しむことができます。
収穫と保存
基本は、食べる分だけその都度掘り出すと保存の手間が要りませんし、乾燥による養分抜けも防ぐことができます。
保った芋は洗って冷蔵庫の野菜室に入れ、2週間を目安に頂きます。
全て掘り出して育苗箱など底がメッシュ状の水気が切れる容器にゴロゴロと入れ、容器ごと軽く土をかけておくことで長期保存もでき、畑の片付けに入ることもできます。
3月に入ると芋は発芽の準備をはじめてしいまいますので、食用にする場合は2月までに頂きましょう。
生育が悪い時の対処法
葉に元気がない、つるが枯れる
- 【原因】
- 発芽しない、発芽後につるが枯れる
- 【対策】
- 真夏に降雨が無い期間は頑張って潅水します。一度葉がしおれてしまうと回復が難しいのが特徴です。
地下の芋は生きていますが、再発芽は翌年になってしまいます。前作の結果をみて植え場所の選定、土づくりを参考に次年に活かします。根張りを良くする土づくりは下段をご参照ください。
発芽しない、発芽後につるが枯れる
- 【原因】
- アリによる食害
- 【対策】
- コーヒーの粉(抽出後のかすでも可)を株元に振っておくと、匂いに敏感なアリを遠ざけることができます。
糖度があるためか、植え付けた種芋そのものにアリが営巣しようとする傾向があり、そうなると芋が枯れてしまいます。早目に、予防として撒くのが良いです。
培養土を自作してみよう
市販の培養土を使用するのが簡単便利ではありますが、それらはおよそ化学肥料が含まれています。
- 表は素材と配合比率、500mlの手桶20杯で10Lの用土を作成する場合の想定杯数です。
- 最終的に育てる場所(地植え、プランター、鉢)の用土を作る場合、更に完熟堆肥を加えます。
- 短期間のポット育苗の用土を作る場合は堆肥は加えず、ごく少量の石灰、または草木灰を加えます。
- 培養土の配合比率は必ずしも正解は無く、お客様ごとご栽培環境に合わせてアレンジしてみてください。
下記は有機栽培、自然栽培など化学肥料を使用せず植物を育てる場合の培養土の自作レシピです。
素材 | 比率 | 手桶杯数 |
---|---|---|
赤玉土(小粒) | 3 | 7 |
ピートモス | 3 | 7 |
バーミキュライト | 2 | 4 |
パーライト | 0.5 | 0.5 |
黒土 | 1.5 | 1.5 |
計 | 10 | 10 |
根張りを良くする土づくり
ポイント
植物は葉や茎など地上部の大きさとほぼ同じくらい地下に根を張っているものです。
この地下の「根張り」を良くすることではじめて、地上部が元気に茂ることができます。
Q:根張りをよくする土づくりとは?
- 物理的に団粒(土の粒)を整える
- カリウム分の含有量を増やす
基本はこの2つです。
土づくりに役立つ自然素材
草木灰やもみ殻くん炭(籾殻燻炭)を土にすき込むことで、土に有機物とカリウム分の両方をバランス良く与えることができます。
草やもみ殻に燃え残る有機物は地中の微生物を増やし、土の粒「団粒」の状態を良いものへと変えてくれます。いわゆる、ふかふかで肥えた土です。
また、植物の欲する3大栄養素(チッソ、リン酸、カリウム)の3つ目、カリウム分は主に根に効く栄養素で、根張りを助けるとともに、株元のカビなど土壌病害の予防にも役立ってくれます。これは燃えた灰が含んでいるものです。
有機栽培、自然栽培など化学肥料を使用せず植物や野菜を育てる場合には、特に「草木灰」「もみ殻くん炭」の活用が簡単、便利です。
草木灰の作り方
お庭や畑で出る、除草した草。育てた野菜や草花の残渣。これらを活かして簡単に土づくりができます。
ただ、火を使う仕事なので、安全確保はあくまで自己責任でお願い致します。
作成の前に
- 天気予報をよく見て、風のない日を選びます。
- 万一火の付いた草が風で飛んでも延焼しないよう、周囲に可燃物が無いことを確認します。周囲の片付け、事前の散水など万全にご準備ください。
作業手順
- 畑やお庭に深さ30cm程度の穴を掘ります。
- 着火用の紙などを底に。その上に雑草や野菜の残渣をのせ、着火します。
- 草は一度にたくさん載せず、燃え進みをみて上から追加投入します。
- ゆっくりじっくり燃やし、出来た灰が草木灰です。
- 使い方は下段のもみ殻くん炭と同じく、植物を育てる場所の土にすき込みます。
もみ殻くん炭の作り方
もみ殻くん炭は農家自作のものが田舎の道の駅に置いてあったり、少々お値段はしますがホームセンターや通販でも買うことができます。
米農家からもみ殻を入手できる。くん炭を作成する場所(畑、広いお庭)がある。という方はご自身で作成することもできます。
安価に、片手間に、大量に、この素晴らしい素材を使うことができるのは大きな魅力です。
火を使う仕事なので、安全確保はあくまで自己責任でお願い致します。
作成の前に
- くん炭作成はもみ殻2袋投入で12~20時間かかりますので、作成から翌日までの天気予報に注意します。強風、降雨予報があるタイミングは避けます。
- 万一火の付いたもみ殻が飛散した場合でも延焼しないよう、周囲に可燃物が無いことを確認します。周囲の片付け、事前の散水など万全にご準備ください。
作業手順
- ブロックなどで囲いを作り、風でもみ殻が飛散しないようにする。ドラム缶を切って作る方も多いです。
- スムーズに作業が進むよう、全ての素材を近くに準備しておきます。
用意するもの(くん炭器、新聞紙、ダンボール、木の枝)
枝はくん炭器の煙突の穴から投入できるよう、切って大きさを整えておきます。 - 新聞紙を丸め、ダンボールを割いて積んで小さい山を作り、着火。くん炭器を被せる。
- 煙突の穴から素早く木の枝を投入する(やけどに十分注意)
- くん炭器を包むように、上からドサーっともみ殻をかぶせる。正面から見て三角形の山になる感じです。
- 火の具合をみながらそのまま放置。翌日には完成しています。余裕がある方は火が燃えている間、もみ殻を混ぜてあげてください。火の通りが均等な良いくん炭ができます。
- 畑に溝を掘り、出来たくん炭をバケツ等で運び、投入、埋め戻し。後日管理機などで耕耘してあげると、くん炭を広く土に混ぜ込み、なじませることができます。